VW排ガス不正で7カ国が規則違反、欧州委が是正手続き開始

欧州連合(EU)の欧州委員会は8日、独フォルクスワーゲン(VW)によるディーゼル車の排ガス不正問題をめぐり、加盟国がVWに対して適切な制裁措置を講じていないのはEU規則に抵触するとして、ドイツや英国など7カ国に対する違反手続きを開始した。7カ国は2カ月以内に是正策を提示しなければならない。欧州委が不十分と判断した場合、欧州司法裁判所に提訴する可能性がある。

VWは排ガス規制を逃れるため、全世界で約1,100万台のディーゼル車に「ディフィート・デバイス(無効化装置)」と呼ばれる違法ソフトを搭載していた。これは検査時だけ窒素酸化物(NOx)などの排ガス低減機能を稼働させる仕組みになっており、走行時の排出量は検査時の約40倍に上るとされる。EUはこうした違法ソフトの使用を禁止しており、各国当局は自動車メーカーに同ルールを順守させ、違反行為を厳しく取り締まる義務を負う。

欧州委によると、違反手続きの対象となったのはドイツ、チェコ、ギリシャ、リトアニア、ルクセンブルク、スペイン、英国の7カ国。このうちドイツ、ルクセンブルク、スペイン、英国はVWが排ガス規制を逃れるために違法ソフトを使用していた事実が判明したにもかかわらず、必要な制裁措置を講じていない。一方、チェコ、ギリシャ、リトアニアは自動車メーカーがEU規則に違反した場合に罰則を科すための国内法を整備していない。さらにドイツと英国に関しては、排ガス規制に絡んだ不正に関する調査情報の開示を求める欧州委の要請を拒否したことも、EU法に違反すると説明している。

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