巨大貨物船が独ハンブルク港に入港できるようにするためにハンブルク州が計画しているエルベ川河口の浚渫工事は環境規制などに反しているとして環境保護団体が差し止めを求めていた裁判で最高裁の連邦行政裁判所は9日、原告の訴えをおおむね退ける判決を下した。判決理由で裁判官は、浚渫計画は希少生物の生息地保護規制などに一部抵触しているものの、違法な部分を修正すれば問題は解決できると指摘。工事に実質的なゴーサインを出した。
ハンブルク州は貨物船の巨大化や将来の海運貨物量の増加を見据えてエルベ川浚渫工事計画を策定した。これに対し環境自然保護団体のNABUとBUNDは2012年、水域・地域・動植物保護に関する規定に違反するとして提訴。連邦行政裁は同年、工事差止の仮処分命令を下していた。
ハンブルク州のオーラフ・ショルツ首相は今回の判決を受けて「経済大国ドイツにとって重要な出来事だ」と発言。浚渫工事を行う意向を示した。また、連邦経済省のウヴェ・ベックマイヤー政務次官は「ハンブルク港は今後も厳しい国際競争のなかで生き残ることができる」と歓迎の意を示した。