融資を受ける権利の発生後に顧客が長期にわたってこれを行使しない場合、金融機関は住宅貯蓄契約を解除できるかをめぐる係争で、通常裁判の最高裁である連邦司法裁判所(BGH)は2月21日、同権利が10年以上行使されていない場合、金融機関は解約できるとの判断を示した。これにより、金融機関は同契約を利用して高い利回りを確保してきた預金者との契約を解除できることが確定。財務負担の軽減を図れることになった。
高金利の1980年代や90年代に締結された住宅貯蓄契約は、金利が極めて低い水準にある現在、高い利回りが確実に得られる数少ない資金運用手段となっていることから、そうした契約の保有者の多くは融資を受けずに貯蓄を継続。これが金融機関の財務を強く圧迫していることから、住宅貯蓄銀行は融資を受ける権利を長年にわたって行使しない顧客との契約を解除している。消費者保護団体によると、住宅貯蓄銀側から解除された契約の件数は全国で26万件に上る。
このため、解約通告を受けた多くの顧客が裁判で争っているが、最高裁の今回の判決を受けて、多くの係争で契約解除が妥当との判決が下される見通しだ。
ドイツの住宅融資では契約の際に貯蓄満額(Sparsumme)を取り決める。預金者はこれをもとに毎月、積み立てを実行。貯蓄額が一定水準(通常は貯蓄満額の40~50%)に達すると、融資を受ける権利が発生(Zuteilungsreife)する。