製薬大手の独メルク(ダルムシュタット)は4日、がん免疫治療法の分野で英国のバイオ企業Fスター(F-star)との提携を強化すると発表した。がん免疫治療薬の開発パイプラインを拡充し、同分野で主導的な立場を獲得する考えだ。
がん免疫治療に用いる二重特異性抗体5種類についてFスターから独占的な開発・販売権を取得する。まずは2年間に最大1億1,500万ユーロを支払い、開発の進捗に応じて支払額を上乗せしていく。
これら5つの二重特異性抗体にはがん細胞が利用する信号経路をブロックする働きがある。そのなかで最も有望なのは「FS118」という抗体で、前臨床段階にある。
メルク自身もがん免疫治療用の二重特異性抗体を開発しており、「M7824」という抗体では現在、第一層臨床試験(治験の第一段階)が行われている。