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2017/6/14

総合 - ドイツ経済ニュース

中国企業の欧州投資先、デュッセルがロンドン抜いて1位に

この記事の要約

中国企業が欧州で行う直接投資活動は買収や出資などM&A以外の分野でも活発化している。監査法人大手アーンスト・アンド・ヤング(EY)の調べによると、昨年は事業拠点の設置や雇用創出など非M&A分野の投資件 […]

中国企業が欧州で行う直接投資活動は買収や出資などM&A以外の分野でも活発化している。監査法人大手アーンスト・アンド・ヤング(EY)の調べによると、昨年は事業拠点の設置や雇用創出など非M&A分野の投資件数が前年比25%増の297件となり、過去最高を更新した。特に欧州最大の投資先であるドイツ向けが大きく伸びており、同国を重視する中国企業の姿勢が改めて鮮明になった格好だ。

昨年は中国化工による農業化学大手シンジェンタ(スイス)の買収や、美的集団による独産業ロボット大手クーカの買収など中国資本による大型M&Aが相次ぎ、中国勢が欧州企業を対象に実施した買収・出資の総額は前年の2.8倍の858億ドルへと急拡大した。

こうした動きに比べると目立たないものの非M&A分野の直接投資も増えており、対独の件数は昨年、59%増の118件と大きく拡大。2位英国(13%減の59件)との差は大幅に広がった。欧州全体の投資件数(297件)に占める割合は38%に上る。

中国企業がドイツに積極的に進出する理由についてEYのパートナーは◇質の高い労働力◇サプライヤーや研究機関が多い◇政治の安定◇地理的に欧州の中心に位置する――を挙げる。ドイツ企業をすでに買収した中国企業が独事業を強化しているという面もあるという。

ドイツに対する高い評価は対欧直接投資(非M&A部門)の都市別ランキング(都市圏を含む)にも反映されており、ドイツはトップ10(9位が3都市あるため計11都市)に7都市がランクイン。日本企業の進出先として有名なデュッセルドルフは前年の22件から2.5倍の56件へと拡大し、ロンドン(11%減の40件)を抜いて首位に躍り出た。フランクフルトを中心とするライン・マイン地域も前年に引き続きパリを抑えて3位を確保した。

中国企業は自国市場の成長鈍化を背景に国外投資を強化していることから、対独投資は今後も高い水準が続くとEYはみている。