一帯一路にドイツ銀と中国開発銀が総額30億ドル

ドイツ銀行と中国の国家開発銀行(CDB)は5月31日、中国政府が主導する広域経済圏構想「一帯一路」を資金面で支援していくことなどで基本合意した。同国の李克強首相の訪独に合わせて趣意書に調印した。一帯一路関連のプロジェクトに協調融資やプロジェクトファイナンスを通して今後5年で総額30億ドルを提供していく。

一帯一路は中国から欧州、アフリカにまたがる巨大な経済圏を構築するという構想で、習近平国家主席が2013年に提唱した。中国から中央アジアを経由してヨーロッパにつながる「シルクロード経済ベルト(一帯)」と、中国沿岸部を東南アジア、スリランカ、アラビア半島の沿岸部、アフリカ東岸と結ぶ「海上シルクロード(一路)」からなる。中国はこれに沿った地域で交通インフラや工業団地を整備し、東西の交易を活発化させる考えだ。

CDBはドイツ銀行が欧州に持つネットワークを活用して欧州企業に一帯一路プロジェクトへの参加を働きかけていく考えとみられる。

両行はこのほか、中国の通貨である人民元の国際化を共同促進することでも基本合意した。メディア報道によると、ドイツ銀は現在、「パンダ債(中国以外の政府や金融機関、企業が中国本土で発行する人民元建て債券)」の発行ライセンス取得に向けて中国当局と交渉しているという。

人民元の国際的な信用はパンダ債の発行が増えれば増えるほど高まるという事情が背景にある。ただ、現時点でパンダ債に関心を持つドイツ企業は少ない。

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