パイロット65歳定年は不当な差別か

65歳以上のパイロット免許保有者は商業輸送用の航空機でパイロットとして業務につくことができない。これは欧州連合(EU)委員会規則(EU)No 1178/2011に記された規則である。パイロットの活動に年齢制限を設けたこのルールは不当な差別に当たるかどうかをめぐる係争で、欧州司法裁判所(ECJ)が5日の判決(訴訟番号:C-190/16)で判断を示したので、ここで取り上げてみる。

裁判は独ルフトハンザ航空の元パイロットであるヴェルナー・フリース氏が同社を相手取って起こしたもの。同氏は65歳になったことから、2013年11月以降、退職扱いとなった。だが、同年末までは労働契約および、航空機操縦と職業訓練者・試験実施者としての資格が有効だったことから、13年11月と12月の給与支給を求めて提訴した。その際、ルフトハンザが定年扱いの根拠としたEUの65歳ルールについて、不当な年齢差別に当たるうえ、職業の自由にも抵触していると批判した。

係争はEU法に直接かかわることから、ドイツの最高裁である連邦労働裁判所(BAG)はECJの判断を仰いでいた。

ECJは今回の判決で、原告フリース氏の訴えを棄却した。判決理由で裁判官は、65歳ルールは年齢による不平等な取り扱いに当たるとしながらも、加齢とともにパイロットとして必要な肉体的な能力が低下する事実を指摘。欧州において民間航空の安全性を確保するという同ルールの狙いを踏まえると、商業輸送用の航空機でパイロットとしての活動を禁止することは正当化できるとの判断を示した。つまり、65歳に達したパイロットは乗客を乗せた旅客機と、手紙と貨物を搭載した貨物機を操縦できないということである。

裁判官は一方で、機材のやり繰りのために乗客と貨物を乗せずに飛行するフェリーフライトを行うことと、パイロットの職業訓練者・試験実施者として活動することについては、禁止対象とならないとの判断も示した。

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