グリューネンタール―買収活用し事業拡大へ―

独医薬品大手のグリューネンタール(アーヘン)は事業の拡大に向けて新製品投入のほか、買収を活用する考えだ。ガブリエル・ベルチ社長が『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に明らかにしたもので、売上高を現在の約14億ユーロから2022年までに20億ユーロへと拡大していく。

同社は鎮痛剤分野の有力企業。特許薬メーカーとしては事業規模が小さいことから、ニッチ分野に経営資源を絞り込んでおり、市場が大きい一般的な鎮痛剤分野には手を出していない。同社売上の3分の1を占める2製品(ベルサティス、パレグジア)の特許が今後、切れることから、新製品4~5種類を投入し、売上の20%を確保する考えだ。ニッチ分野の鎮痛剤は◇業界大手が手を出さない◇ニーズが大きいことから認可を得やすく、開発コストも小さい――というメリットがある。

買収に関してはすでに、英アストラゼネカから片頭痛薬「ゾーミッグ」の世界販売権(日本を除く)と痛風治療薬「ズラムピック」の欧州・ラテンアメリカ販売権を取得した。

グリューネンタールは製薬分野の経営資源を絞り込む一方で、医療機器分野で事業構築に乗り出しており、5月には特殊絆創膏開発の新興企業アドヘシス・メディカルを買収した。リスクを分散することが狙いだ。

グリューネンタールの16年売上高は13億9,000万ユーロで、前年比15%の伸びを記録した。営業利益は9%増の1億5,300万ユーロだった。