ドイツ連邦統計局が8日発表した7月の輸出高(暫定値)は前年同月比8.0%増の1,037億ユーロとなり、3カ月連続で拡大した。欧州連合(EU)域外向けが9.7%伸びて全体をけん引。ユーロ加盟国向けは6.9%増、EUのユーロ非加盟国向けは6.4%増だった。
輸入高(暫定値)は842億ユーロで9.4%増加した。EU域外(11.5%増)とEUのユーロ非加盟国(10.4%)が2ケタ台増となり、ユーロ加盟国も7.5%増加した。
貿易収支の黒字幅は195億ユーロで、前年同月を2.1%上回った。経常黒字は6.0%増の194億ユーロだった。
1~7月の輸出高は7,422億ユーロで、前年同期を6.3%上回った。EU域外向けが7.3%増加。ユーロ加盟国とEUのユーロ非加盟国向けもそれぞれ6.2%、4.7%伸びた。
1~7月の輸入高は9.3%増の6,004億ユーロだった。輸入先地域別の伸び率はEU域外が12.4%、EUのユーロ非加盟国が9.6%、ユーロ加盟国が6.8%だった。
1~7月の貿易黒字は1,418億ユーロで、前年同期から4.4%減少。経常黒字は7.7%減の1,410億ユーロと大きく落ち込んだ。貿易黒字縮小のほか、居住者と非居住者との間の対価を伴わない資産の提供に係る収支状況を示す第二次所得収支の赤字幅が212億ユーロから312億ユーロへと膨らんだことが響いた。
経常黒字は減少しているものの、ドイツは昨年に引き続き今年も世界最大の経常黒字国となる見通しだ。Ifo経済研究所の試算によると、今年の経常黒字は2,850億ドル(2,570億ユーロ)となり、2位の中国(同1,900億ドル)を大幅に上回る。3位は日本で1,700億ドル。
ドイツが巨額の経常黒字を計上するのは貿易黒字が大きいためで、特にEU加盟国と米国向けがけん引車となっている。このほか、対外金融債権・債務から生じる利子・配当金などの収支状況を示す第一次所得収支も同黒字を押し上げる。
経常黒字の対国内総生産(GDP)比率は昨年の8.3%から7.9%に低下する。ユーロ高にもかかわらず原油と天然ガスの輸入物価が上昇しているためだ。
EUの欧州委員会は同比率で6%超が持続すると域内の経済的な安定が損なわれるとしているが、ドイツは6年連続で6%を上回ることになる。米トランプ政権もドイツの経常黒字を強く批判しており、国際的な風当たりは一段と強まるとみられる。