半導体大手の独インフィニオン(ミュンヘン)は7日、英同業エックスモス(XMOS)に戦略出資したと発表した。音声を利用した人間と機械の間の情報伝達(ヒューマンマシンインタフェース=HMI)分野で技術力を強化する狙い。エックスモスが実施した総額1,500万ドルの資金調達に最大の投資家として参加し、マイノリティ出資した。同社の出資比率と出資額は明らかにしていない。
エックスモスは2005年の設立で、ブリストルに本社を置く。モノのインターネット(IoT)機器向けのボイスプロセッサーを手がけている。自社工場は持っていない。
人間と機械の情報伝達では従来、インターフェースとして主にキーボードやディスプレーが用いられてきた。今後はIoTの普及を受けて音声HMIが急速に増える見通しで、市場調査大手HISは音声HMI市場が今後数年、年率46%のスピードで成長すると予想している。
ただ、これまでのボイスコントローラー(音声HMI)では、発話している人間の声と、その周辺のテレビやラジオの音声を区別できず、音量が最も大きい音声に反応してしまうことが多かった。
インフィニオンとエックスモスはこうした問題を解決するソリューションの開発で以前から協業しており、今年初には成果を発表した。インフィニオンのレーダーセンサーとシリコン・マイクロフォンセンサーで発話者の位置および発話者とマイクの距離を測定したうえで、エックスモスの遠距離音声処理技術を用いて発話者の声を正しく拾い上げるというもので、音声HMIの需要を掘り起こす技術と期待されている。
インフィニオンは今回の戦略出資により、エックスモスとの関係を深化させる考えだ。将来的に買収するかどうかは明らかにしていない。