高級車大手の独BMW(ミュンヘン)は7日、2025年までに電気駆動車を計25モデル投入することを明らかにした。需要の急増が予想されるうえ、電気自動車(EV)メーカーの米テスラが量産モデルの投入を開始したことを踏まえた取り組みで、14日に開幕するフランクフルト国際モーターショーには主力「3シリーズ」のEVモデルを出展する予定だ。
自動車業界ではエンジン車からEVへのシフトが進行し始めており、独フォルクスワーゲン(VW)は25年までに約50のEVを市場投入。ダイムラーも「メルセデス」ブランドの全モデル(計50以上)で22年までにEVないしハイブリッド車(HV)の販売を開始する。
BMWは現在、電気駆動車を9モデル販売している。そのうちEVは「i3」だけで、他はハイブリッド車が占める。25年までに新たに投入する電気駆動車では12モデルがEVとなる。
テスラは同社初の大衆向けEVである「モデル3」の販売を7月に開始した。航続距離が350キロと比較的長いうえ、販売価格が3万5,000ドル(米国)にとどまることから、同モデルを機にEV需要に火が付くと予想されており、受注台数はすでに40万台に達した。テスラは昨年8万4,000台にとどまった同社の販売台数が2018年に50万台、20年には100万台へと拡大すると予想している。
モデル3はBMWで生産台数が最も多い3シリーズから需要を大量に奪う懸念があることから、同社は3シリーズのEVを早期に市場投入する考えだ。投入時期は明らかにされていないものの、経済紙『ハンデルスブラット』は社内情報として、BMW初の完全自動運転EV「iネクスト」(市場投入:21年下半期)よりも前になると報じた。ハラルド・クリューガー社長はテスラなど競合との競争を念頭に、電動パワートレインと自動運転分野の研究開発費を今後、大幅に増やす方針を明らかにした。