化学大手の独ワッカー・ケミー(ミュンヘン)は20日、米テネシー州チャールストンにある多結晶シリコン工場の操業を数カ月間、停止すると発表した。同工場では爆発事故が発生したことから、安全に操業できる確証が得られるまで生産を見合わせる。顧客とは緊密に連絡を取り在庫情報などを適宜、提供していく。
チャールストン工場は同社史上最大の25億ドルを投じて建設したプラントで、昨年4月に生産を開始したばかり。7日に水素が漏れて爆発が起き配管が損傷。クロロシランが漏れ出た。事故の原因が解明されていないことから、現時点で安全操業のメドが立っていない。
同工場では太陽電池や半導体の原料である多結晶シリコンを生産している。生産能力は2万トンで、ワッカー・ケミーの世界生産能力の25%を占める。同社は独ブルクハウゼン、ニュンヒリッツの2工場でも多結晶リシコンを生産しているうえ在庫も多いことから、年内は契約顧客に対し製品を供給できるとしている。
今回の事故は業績に影響しない見通しで、同社は今年の売上・利益予測を据え置いた。