独シュツットガルト市で人体に有害な窒素酸化物(NOx)の濃度が欧州連合(EU)基準を上回っているのは問題だとして環境保護団体ドイチェ・ウンベルトヒルフェ(DUH)がディーゼル車の市内走行禁止を早期に実施するよう求め地元バーデン・ヴュルテンベルク(BW)州を訴えている係争で、1審で敗訴した同州政府は2日、最高裁の連邦行政裁判所(BVerwG)に跳躍上告することを決定した。1審判決を受け入れれば来年1月1日から欧州排ガス基準「ユーロ5」以下のディーゼル車などを対象に市内走行禁止措置を発動しなければならなかったが、BVerwGの判決が2月下旬以前に下される可能性はないことから、同市では年明け以降も当面、走行禁止措置が取られないことになった。
EUではNOxの許容上限値が1立方メートル当たり40マイクログラム(年平均)に設定されている。シュツットガルトでは同規制が始まった2010年以降、一度も順守できない状況が続いていることから、DUHはBW州政府を提訴。同政府は対策案を提示したものの、1審のシュツットガルト行政裁判所は効果が不十分だとして対策案をすべて却下し、来年1月1日からユーロ5以下のディーゼル車と「ユーロ2」以下のガソリン車の市内走行を全面禁止することを命じた。
BVerwGにはすでに、ノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州政府を被告とする同様の係争が持ち込まれている。同係争の裁判は来年2月22日に行われる予定。この係争はシュツットガルトの係争と共同で審理される可能性が高いことから、同市では年明けとともに走行禁止措置が導入される恐れはなくなった。