話しかけや仕草を通さずにロボットに意思を伝える技術を独フライブルク大学病院翻訳ニューロテクノロジー研究室(TNT)のチームが開発した。身体を思うように動かせない重度の障害者の生活の質を大幅に改善する技術で、実用化に期待が集まっている。今後はスタートアップ企業コルテック(Cor-Tec)と臨床試験を実施。数年後の実用化を目指す。21日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。
TNTでは脳波(EEG)の解析を通しててんかん発作の早期発見や脳疾患の診断を行う技術の開発に取り組んでいる。現在の技術では脳波が何を意味するかを約90%の確率で正確に解釈できる。
研究チームは解釈をより迅速・正確に行えるようにするために、人工知能(AI)を活用。大量のデータのなかから特定の型を持つ脳波を自らの学習で突き止めていくプログラムを開発した。
チームは脳波解析の技術を生かして、念じるだけでロボットに意思を伝えるソフトウエアをロボット工学、情報技術の研究者と共同開発した。例えば脳波測定用の電極を頭部に装着した被験者が「一杯の水が欲しい」と念じるとロボットが水とコップを認識し被験者のもとに運んでくるといった具合だ。ロボットの反応時間はまだ長いものの、自己学習を通して短縮化できる見通し。チームのメンバーは、発想自体は新しくないもののコンピューターの性能と画像認識技術が向上したことで近年ようやく実用化が視野に入ってきたと語った。