テスラ車で違法な価格操作、環境対応車助成金リストから除外

米テスラの電気自動車(EV)がドイツの環境対応車購入助成金対象リストから除外された。本来は助成対象とならないモデルを違法な価格操作で助成基準をクリアしているかのように見せかけていたことが発覚したためだ。自動車専門誌『アウト・ビルト』が報じ、所轄官庁の連邦経済輸出監督庁(BAFA)が追認した。

ドイツでは環境対応車の普及を加速させるために、EVとプラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)の購入者に助成金を支給するルールが昨年7月から始まった。1台当たりの助成額はEVとFCVで4,000ユーロ、PHVで3,000ユーロ。カタログ価格で6万ユーロ以下の車両が助成対象となっている。

テスラではEV「モデルS」のベーシックモデルが昨年秋から助成対象リストに登録されるようになった。カタログ価格が5万8,000ユーロに設定されたためだ。モデルSの他のモデルと異なりナビゲーションやバックアップカメラ、車線逸脱防止支援システムが装備されておらず、低価格の設定とするために装備を大幅に省いた。車線逸脱防止支援システムなどが装備されている「コンフォートモデル」では価格が13万101ユーロに上る。

アウト・ビルトの調査員が覆面調査でモデルSのベーシックモデルを購入しようとしたところ、販売店の店員は、ベーシックモデルは助成金を確保するために便宜上、売り出した車両であり、実際にはコンパクトモデルでないと販売できないと回答した。一般の消費者も同様の経験をしたという。

ベーシックモデルで助成金を申請した同社の顧客は1,274人で、そのうち843人が承認を受けた。すでに648人は受給している。BAFAは今後の調査結果次第で、助成金の返還を命じる可能性もある。

テスラは1日付の声明で、ベーシックモデルは販売しており、すでに納車実績もあるとして容疑を否定。販売店がベーシックモデルの販売を拒否しているかどうかを今後調査し、そうしたケースが確認されれば「適切な措置」を取ることを明らかにした。

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