サッカー協会への独禁調査停止、チケット入手ハードルの引き下げ評価

ドイツ連邦カルテル庁は1日、ドイツサッカー協会(DFB)を対象に進めてきた独禁法上の調査を停止すると発表した。2018年ワールドカップ(W杯)ロシア大会のチケットを、昨年フランスで開催された欧州サッカー選手権(UEFA EURO 2016)などよりもファンが入手しやすくするとDFBが確約したことを評価した。

UEFA EURO 2016では4チーム総当りのリーグ戦で行われる1次ラウンドのチケットが各国のサッカー協会にそれぞれ20%(6,000~1万5,000枚)割り当てられ、DFBはドイツ代表が戦う3試合について割り当てを受けた。

DFBはその販売に当たって、ドイツ代表チームのファンクラブ( Fan-Club Nationalmannschaft)への加入を購入資格として設定した。ファンクラブに加入するためには年会費40ユーロを支払わなければならないことから、独占的地位濫用の疑いが浮上。ムント長官は16年3月、「チケット入手はただでさえ難しい」と指摘したうえで、ファンクラブ入会が入手の条件となれば、チケット料金は実質的に押し上げられると批判した。また、ファンクラブ料金を支払ってもチケットを入手できる保証はどこにもないと述べ、DFBのチケット販売手法に対し「搾取的な濫用の可能性がある」との懸念を示した。

DFBはこれを受けてカルテル庁と協議。W杯ロシア大会でドイツチームが戦う試合のチケットの販売対象をファンクラブ会員に限るとした条件を変更しなかったものの、同大会限定の会員資格を10ユーロで得られるようにするとともに、限定会員から得た会費収入をサッカー会場のセキュリティ向上に充てることを確約した。

カルテル庁はこれを評価して独禁調査を停止した。ムント長官は「良い妥協だ」との見方を示した。

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