勤務時間合意からの逸脱は認められるか

始業時間、終業時間、休憩時間などは労働組合との協定や法律で特別な定めがない限り、従業員の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)と雇用主が共同で決定しなければならない。これは事業所体制法(BetrVG)87条1項2に定められたルールである。このルールをめぐる係争でハム州労働裁判所が8月8日に決定(訴訟番号:7 TaBV 33/17)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判はホームセンターを展開する企業のX店の事業所委員会が同社を相手取って起こしたもの。同店では2014年11月27日に勤務時間に関する雇用主と事業所委の合意が取り決められた。

同合意ではレジと接客担当の店員のシフト勤務終了時間を事業所委の同意なしに最大15分、延長できることが取り決められていた。だが、レジ・接客担当店員の超過勤務時間は頻繁に15分を超えたことから、原告事業所委は差し止め訴訟を起こした。

2審のハム州労裁はこの係争で、原告勝訴を言い渡した。決定理由で裁判官は、事業所委員会と取り交わした合意の履行を雇用主に義務づけたBetrVG77条1項第1文の規定を指摘。15分を超える超過勤務は事業所委との合意に反しているとして、差し止めを命じた。

裁判官はまた、「緊急事態(Notfall)」が発生した場合は事業所委との合意からの逸脱が認められるとした04年の連邦労働裁判所(BAG、最高裁)の判例(訴訟番号:1 ABR 29/03 Rn. 18)に言及。緊急事態とは自然災害や事故など不可避の出来事を指すとして、単に仕事が立て込んでいる場合はこれに当たらないと言い渡した。BAGへの異議申し立ては認めなかった。

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