ドイツ鉄道(DB)は12月20日、欧州のトラックメーカーをミュンヘン地方裁判所に提訴したと発表した。トラックメーカーが結んでいたカルテルで被害を受けたとして、損害賠償の支払いを要求している。DBは同社のほか、国防軍と独企業40社強の請求権も譲り受けて裁判を行う。
欧州連合(EU)欧州委員会は2011年、ドイツのMAN、ダイムラー、ボルボ/ルノー(スウェーデン/仏)、伊イベコ、オランダのDAF、スカニアの6社・グループが1997年から2011年にかけて、販売価格を取り決めていたほか、EUの環境規制に対応した排ガス処理システムの導入時期と、同システムのコストを顧客に転嫁することを申し合わせていた疑いがあるとして、関係各社に立ち入り調査を実施。スカニアを除く企業はカルテルへの関与を認め、調査に協力したため、欧州委は調査段階でカルテルへの関与を認めて調査に協力すれば制裁額を10%減額する和解制度を適用し、16年7月に総額29億2,650万ユーロの制裁を科した。スカニアに対しても17年9月、約8億8,000万ユーロの制裁金支払いを命令。制裁の総額は過去最高の約38億ユーロに達した。
スカニア以外のメーカーは制裁を受け入れ違法性が確定したことから、DBは今回、MAN、ダイムラー、ボルボ/ルノー、イベコ、DAFを相手取って損賠訴訟を起こした。DBと国防軍、および同社に請求権を譲渡した企業はカルテルで価格が吊り上げられたトラックを計3万5,000台(額にして20億ユーロ以上)を購入しており、これら車両で受けた損害の賠償支払いを要求する。