ドイツの二大銀行であるドイツ銀行とコメルツ銀行の大株主と会った米投資大手サーベラス・キャピタル・マネジメントは両行の合併を画策していないもようだ。独経済紙『ハンデルスブラット(HB)』が金融業界の情報として8日、報じたもので、両行の経営改善が出資の狙いという。関係各社は報道内容へのコメントを控えている。
サーベラスは独銀2位のコメルツ銀行の株式5.01%を7月に取得。11月には同最大手ドイツ銀の株式を少なくとも3%を獲得した。コメ銀で第2位株主、ドイツ銀で第4位株主となっている。
サーベラスのスティーブン・ファインバーグ最高経営責任者(CEO)は厳しい企業再建を要求する投資家として知られる。市場ではこれを踏まえ「両行の合併を迫ることは十分に考えられる」との見方が浮上していた。
だが、HB紙によると、こうした見方は当たらないもようだ。ファインバーグCEOは12月、ドイツを訪問し、首相官邸、連邦財務省、連邦銀行(中銀)、連邦金融監督庁(BaFin)およびドイツ銀、コメルツ銀で会談。スリム化と経営効率改善を通して両行の収益力を強化する考えを明らかにした。ドイツには大手銀行2行が共存する十分な余地があるとみており、合併は念頭にない。両行の競争力強化を支援する考えを伝えたもようで、政府や当局は好印象を受けたという。