電動車両の増加で停電リスク上昇、スマートソフトの利用で問題解決も

外部からの給電が可能な電動車両の普及率が高まると、広域停電(ブラックアウト)のリスクも上昇する――。経営コンサルティング大手のオリバー・ワイマンは22日にそんな見解を示し、注意を促した。停電を回避するためには巨額投資で低圧配電網を拡充する方法のほか、電力を調整するスマートソフトウエアを活用する低コスト方式もあるとしている。

オリバー・ワイマンはドイツの電動車両普及率が2020年に7%、25年に18%、30年に26%、35年に37%に達するとの予測を示したうえで、現在の規制枠組みが変わらなければ同30%を超えると広域停電のリスクが高まっていくと指摘した。持ち主が夜間のほぼ同じ時間帯に車両の充電を開始する結果、電力需要に供給が追い付かない状況が発生しやすくなるためだ。普及率30%では停電時間が年11時間、50%では同141時間、70%では574時間、80%では643時間と、普及率の上昇とともに停電時間が加速度的に増えるという。

停電を回避するために必要な低圧配電網の投資額は電動車両の普及率50%の場合で最大110億ユーロに上る。

一方、スマートソフトの利用を通して一定地区内の車両充電時間を夜間の広い時間帯に分散させると、そうした投資を削減ないし全面的に回避できるとしている。電動車両の92.5%がそうした充電契約を送配電事業者と結べば、電動車両の普及率が100%であっても配電網投資は不要になるという。

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