VW泣かせの投資会社がサプライヤー買収

ボスニア系の独投資会社プリベント・グループが自動車部品製造の独ノイエ・ハルベルク・グス(NHG)を買収したことが、連邦カルテル庁の発表などで分かった。NHGは欧州有数の自動車用鋳造部品メーカーで、自動車大手フォルクスワーゲン(VW)などに製品を納入している。プリベントはVWへの部品供給を拒否するなど強硬な姿勢を取ることで知られており、自動車メーカーの間に警戒が広がりそうだ。

NHGはシリンダークランクケースやシリンダーヘッド、クランクシャフト、シリンダーブロックを乗用車、商用車、バス向けに製造するメーカー。本社所在地ザールブリュッケンと独ライプチヒ、南アフリカに工場を持つ。3工場の従業員数は3,000人で、直近の売上高は約5億ユーロだった。VWのほか、アウディ、BMW、ダイムラー、オペル、独フォード、PSA、MAN、スカニアなど有力メーカーを顧客に持つ。

プリベントはNHGを、子会社カスタネア・ルブラ(ベルリン)を通して独投資会社SDLジュドドイチェ・リーシングから譲り受けた。SDLは昨年夏にHNGを買収したばかりで、わずか半年で転売したことになる。

プリベントはボスニアの事業家ハスター家の投資企業で、複数のサプライヤーを傘下に持つ。2015年にVWへの部品供給を拒否し、VWの生産ラインを停止させたことで一躍、有名になった。自動車シート大手の独グラマーに対しても昨年5月の株主総会で役員解任と乗っ取りを画策した経緯がある。グラマーではプリベントから攻撃を仕かけられていることから、受注が大きく減少している。

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