都市NOx削減資金で新合意、自動車業界拠出金を独3社が全額負担へ

独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)、ダイムラー、BMWの3社は2日、窒素酸化物(NOx)濃度が高い都市を支援するために設立する官民基金「持続可能な都市モビリティ基金」の自動車業界拠出金を3社が全額負担することで、ドイツ政府と合意した。3社はサルを用いた排ガスの健康影響試験を行っていたことが最近、発覚しており、企業イメージの悪化を緩和するために今回の合意に踏み切ったとみられている。

欧州連合(EU)加盟国はNOxの濃度を1立方メートル当たり40マイクログラム(年平均)以下に抑制することを2010年以降、義務づけられている。ドイツではベルリン、ミュンヘンなど計28の都市・地域で同規制を順守できない状況が続いていることから、欧州委員会は昨年2月、政府に最終警告書を送付した。順守に向けた対策が早急に作成・実施されなければ、ドイツを欧州司法裁判所(ECJ)に提訴する考えだ。国内の多くの都市では最悪の場合、旧型ディーゼル車の市内乗り入れが禁止される恐れがある。

政府と自動車業界はそうした事態の回避策の一環として持続可能な都市モビリティ基金の設立を取り決めた。国が7億5,000万ユーロ、自動車業界が計2億5,000万ユーロを拠出することになっている。

国との取り決めでは自動車業界の拠出金をメーカー各社が市場シェアに基づいて分担するはずだったが、外資系メーカーが拒否しており、業界の分担金2億5,000万ユーロをねん出できない懸念があった。VW、ダイムラー、BMWのシェアは約53%で、本来の拠出額は計1億3,400万ユーロだったが、政府との今回の合意で2億5,000万ユーロの全額負担を確約した。

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