心筋梗塞など急性冠症候群の患者に投与する「アスピリン」の供給がドイツで不足している。品質不良問題が発生したためで、同国で唯一の供給元であるバイエルは病院への引き渡しを制限中だ。供給不足は長期化する見通しで、医療関係者は神経をとがらせている。同社への取材をもとに週刊誌『シュピーゲル』が報じた。
鎮痛剤として有名なアスピリンには血液をサラサラにする効果があることから、心筋梗塞患者などに液体薬として点滴・注射で投与されている。錠剤にも効果があるものの、効き目が弱かったり遅いという難点があり、緊急時には役に立たない恐れがある。また、意識がもうろうとしている時に錠剤を投与すると、のどに詰まらせるリスクがある。
バイエルは液体タイプのアスピリンの製造を仏メーカーに委託している。このメーカーの生産ラインに問題があり品質不良が発生していることから、供給不足が起きている。同薬の長期供給不足は昨年も発生した。