フランクフルトのアルトシュタット(旧市街)地区内に古い街並みを再現した新区画が誕生した。これまで旧市庁舎前のレーマー広場に限られていた昔風の面影を持つエリアが広がった格好。高層ビル街と並ぶ市の“顔”として人気スポットとなりそうだ。
古い街並みが再建されたのはレーマー広場と大聖堂(ドーム)を結ぶ長さ百数十メートルの区画。昔風の家35軒からなり、そのうち15軒は戦前の家を再建したものだ。特に「ゴールデネ・ヴァーゲ(黄金の秤)」と「ローテ・ハウス(赤い家)」の2軒は忠実に再現されている。
フランクフルトの旧市街は戦前、木組みの家が密集するドイツ有数の古い街並みを誇っていた。だが、1944年3月の大空襲で焼け野が原へと一変。戦後はレーマー広場が歴史的なたたずまいを残す形で再建されたものの、ほとんどの地区は近代的な建物が取って代わった。
レーマー広場と大聖堂の間にはコンクリートの巨大な塊とも言うべき役所が74年に建設された。この建物が2010~12年に撤去されたことから、歴史的な新区画が作られることになった。総工費2億ユーロ、建設期間6年の巨大プロジェクトで、批判の声もあったものの、訪問した市民の反応やおおむね良好だ。
同区画には現在、誰も住んでいないが、今月末から入居が始まる。約70ある住宅でおよそ160人が生活することになっている。来月末からは約20の店舗もオープンする予定だ。市は新しい観光名所として売り込む考えで、すでに極東などでマーケティング活動を行っている。