雇用主は被用者を解雇する前に従業員の代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)に解雇理由を伝えたうえで意見を聞かなければならない。これは事業所体制法(BetrVG)102条1項に記されたルールであり、この手続きなしに行われた解雇は無効となる。このルールを巡る係争でメクレンブルク・フォーポマーン州労働裁判所が14日に判決(訴訟番号:3 Sa 196/17)を下したので、ここで取り上げてみる。
裁判は救援活動を展開する協会にレスキュー隊長として採用された被用者Aが同協会を相手取って起こしたもの。Aは2016年10月1日付で採用されたものの、不当解雇からの被用者の保護を定めた解雇保護法(KSchG)の規定が適用されない6カ月の待機期間(Wartezeit。試用期間=Probezeitとほぼ同じ)の終了に合わせて17年3月末付で解雇された。
雇用主である同協会は解雇に先立って事業所委員会に解雇理由を伝え、意見を聴取した。解雇理由は「A氏はわれわれからみて試用期間中に隊長としての能力を証明できなかった。彼にかけた期待は満たされなかった」となっていた。
これに対しAは、自らがレスキュー隊で行った仕事が事業所委への解雇理由説明で正しく伝えられていないと批判。BetrVG102条1項に違反しており解雇は無効だとして、提訴した。
一審は原告の訴えを棄却し、二審のメクレンブルク・フォーポマーン州労裁も同様の判決を下した。判決理由で同州労裁の裁判官は、待機期間中の解雇では解雇保護法に定められた客観的な解雇理由の基準を満たしている必要がないと指摘。「隊長としての能力を証明できなかった」という雇用主に主観的な見方を解雇理由として挙げるだけで十分だとして、被告協会が事業所委に提示した解雇理由に問題はなかったとの判断を示した。
最高裁の連邦労働裁判所(BAG)への上告は認めなかった。