自動運転・コネクテッドカーで独中の官民が協業

ドイツと中国が自動運転とコネクテッドカーの分野で協業する。両国政府は中国の李克強首相の訪独に合わせて協業の覚書に調印。自動車業界団体と企業レベルでも契約などが締結された。中国側はドイツの技術力に期待を示し、ドイツ側は中国の開発環境を活用したい考えだ。

両国政府は自動運転とコネクテッドカーの分野での開発情報の交換と相互理解を促進することで合意した。市場への公正なアクセス、透明性、信頼性、平等、相互性の原則に基づいて協業するとしている。

独自動車工業会(VDA)も同分野で中国汽車工業協会(CAAM)、全国汽車標準化技術委員会(NTCAS)と協定を結んだ。具体的な内容は明らかにしていない。VDAは1月、自動運転車とコネクテッドカーに当たる「インテリジェント・コネクテッド・ビークル(ICV)」の標準化に向けて自動車技術研究機関、中国汽車技術研究中心(CATARC)との間で覚書を交わしている。

企業レベルではフォルクスワーゲン(VW)グループと安徽江淮汽車(JAC)が電動車、コネクテッドカー、自動運転車の研究開発拠点を2021年までに開設することで基本合意した。ダイムラーと清華大学は自動運転・知的移動の分野での研究協力関係を深化させる。BMWとインターネット大手の百度(Baidu)は自動運転技術の開発で戦略提携の覚書を交わした。VW子会社アウディと通信機器大手の華為技術もインテリジェントなコネクテットカー分野で戦略提携の覚書を締結。無錫市のパイロットプロジェクトで新たな移動体通信規格「LTE-V」を検証する予定だ。

中国は世界最大の自動車市場であるうえ、個人データ規制が緩く莫大な消費者データを活用できることから、自動運転車・コネクテットカーとその実現に必要な人工知能(AI)の開発でもドイツの自動車メーカーにとって大きな意味を持つ。ダイムラーは今月上旬、北京の公道で完全自動運転車(レベル4)の走行試験を実施することを許可された。

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