上級セミナーへの事業所委の参加、企業は認めなければならないか

従業員の代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)の活動で生じる費用は雇用主が負担しなければならない。これは事業所体制法(BetrVG)40条1項に記されたルールであり、研修費用もそうした費用に含まれる。では、すでに研修に参加した事業所委員がさらに知識を深めるための上級セミナーなどに参加したいと申請した場合、雇用主はこれを受け入れなければならないのだろうか。この問題を巡る係争でケルン州労働裁判所が昨年4月の決定で判断(訴訟番号:11 TaBV 57/16)を示したので、ここで取り上げてみる。

裁判は被告企業の事業所委員会と事業所委員Aが同社を相手取って起こしたもの。Aは労使の共同決定権(Mitbestimmungsrechte)に関する上級セミナー(2016年9月26、~30日)への参加許可を雇用主に申請した。参加理由として「雇用主が最近、対立姿勢を強めているため、共同決定権の貫徹が難しくなっており、これに対処するために更なるセミナーの受講が必要になっている」と明記した。

これに対し雇用主は、上級セミナーは有用かもしれないが、必要性はないとして申請を却下。Aと事業所委はこれを不服として提訴した。

1審のボン労働裁判所は原告の訴えを退け、2審のケルン州労裁でも決定は覆らなかった。決定理由で同州労裁の裁判官は、事業所内の具体的な状況を鑑みて上級セミナーの受講がなぜ必要なのかを原告は証明できなかったと言い渡した。

最高裁への異議申し立ては認めなかった。

■ポイント

事業所委員が業務の遂行に必要な知識を得るための研修には「基礎研修」と「その他の研修」がある。基礎研修は初めて事業所委員に選出されたメンバーが受講するもので、雇用主は参加を認めて費用を負担しなければならない。一方、その他の研修はケルン州労裁の今回の決定が示すように、参加と費用負担を雇用主が認めなければならないかどうかはケースバイケースで異なってくる。

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