化学大手の独ランクセス(ケルン)は8日、サウジアラビアの国営石油会社、サウジアラムコとの合弁会社アルランクセオから資本を全面的に引き上げると発表した。経営資源を特殊化学分野に絞り込む考えで、同合弁の保有株50%をサウジアラムコに売却する。年内の売却手続き完了を見込む。
ランクセスは合成ゴムの有力企業だったが、業界の過剰生産能力と価格下落を受けて競争が激化し、業績が悪化したことから合成ボム事業を2016年にサウジアラムコと合弁化した。出資比率はそれぞれ50%。
アルランクセオの時価を30億ユーロと評価したうえで、保有株50%を譲渡する。売却価格は債務など除いて約14億ユーロで、ランクセスはこれを現金で受け取る。
アルランクセオは蘭マーストリヒトに本社を置き、計9カ国に20の生産拠点を持つ。従業員数は3,800人で、昨年は約32億ユーロを売り上げた。
ランクセスは特殊化学事業を強化しており、昨年には潤滑油・難燃剤向け添加剤大手の米ケムチュラを買収した。