高級車大手のBMWが販売店に提示した新しい契約の内容に、ドイツのディーラー団体が反発している。争点となっているのはBMWの直販拡大を認める条項と、顧客データへのアクセス権に関する条項で、ディーラー団体は契約文の見直しを求めている。経済紙『ハンデルスブラット(HB)』が21日付で報じた。
BMWは8月、新しい契約書を独ディーラーに送付した。本来ならば10月に発効することになっているが、ディーラーは署名を拒否している。
BMWは5月、小売チェーンのリドルなどを展開するシュヴァルツ・グルッペと直接、リース販売契約を結び、シュヴァルツの社員向けに年1万台もの社用車を供給することを取り決めた。BMWの直販が増えれば、ディーラーが販売する車両の総数はその分、減少することから、ディーラーの不満は大きい。
シュヴァルツはリース契約の終了した車両を自ら販売することになっている。ディーラーは中古車も取り扱うことから、ディーラーにとっては自らが販売する中古車の台数も減少することになる。
BMWの新契約では同社が直販を拡大することが認められていることから、ディーラーの危機感は大きい。
顧客データはこれまで主に、ディーラーが管理・利用してきた。だが、情報通信技術を利用した移動サービスが今後、自動車業界で重要性を増すことから、BMWはこの点でも権利の拡大を新契約書に盛り込んだという。
HB紙が社内情報として報じたところによると、国外のディーラー団体は新契約を受け入れているという。