英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)に伴い必要となる法律の整備をドイツ政府が進めている。企業活動に大きな支障が出るのを回避するのが狙い。10日の閣議では英国法に基づく非公開有限責任会社(private company limited by shares=Ltd.)をドイツ法に基づく会社へと転換しやすくし、出資者が無限責任を負わなくても済むようにする法案を了承した。
ドイツに本社を置いているにもかかわらず、Ltd.の企業形態を採用企業は推定8,000~1万社に上る。英国がEUから離脱すると、これらの企業はドイツで合名会社(OHG)ないし「民法上の組合(GbR)」として扱われるようになり、出資者は無限責任を負うことになる。
そうした事態を避けるためには出資者の責任を有限のものとする必要があるため、政府は法改正によりLtd.をドイツ法に基づく会社へと転換しやすくする考えだ。
政府はブレグジットに伴い必要となる法律の整備方針を7月18日の閣議で決定し、様々な法案の作成を進めている。メディア報道によると、ドイツ企業が英国に持つ含み資産への課税をブレグジット後も見合わせる法案も作成している。
現行法では例えば、減価償却終了後も資産価値が残っているクレーンなどの資産をEU域外に移転すると、税金がかかる。ブレグジット後の英国はEU域外の国となるため、ドイツの税務当局はそうした資産に課税できるものの、政府はこれを見合わせる方向で法改正を進めているという。課税見合わせルールは会社持ち分の国外移転にも適用する考えだ。