自動車最大手の独フォルクスワーゲン(VW、ヴォルフスブルク)が12日発表した9月のグループ新車販売台数は前年同月比18.1%減の82万7,700台と大幅に落ち込んだ。欧州連合(EU)の排ガス検査方式が変更されたことが直撃した格好で、欧州販売は36.5%減の26万6,700台と激減。全体を強く押し下げた。低迷は10月も続く見通し。同社は11月の回復を見込んでいる。
EUでは排ガス検査方式が従来の「新欧州ドライビングサイクル(NEDC)」から「世界統一試験サイクル(WLTP)」へと切り替えられ、WLTPをクリアしない車両は9月1日から新車登録できなくなった。VWグループはWLTPへの対応に苦戦。WLTPをクリアしていない車両は8月末までに新車登録しなければならないことから、7月と8月は駆け込み販売を通して販売実績を大きく拡大したものの、9月はその反動で激減した。WLTP未対応の車両を顧客に引き渡せないことも響いている。
欧州販売は特に西欧で振るわず、41.5%減の19万9,600台へと後退。ドイツ本国は45.2%落ち込んだ。中東欧は10.2%減の5万7,100台と西欧に比べて減少幅が小さく、EU規制の影響を受けないロシアは20.5%増の2万1,100台と好調だった。
アジア太平洋も4.8%減の41万6,000台と振るわなかった。中国市場の冷え込みが響いた格好で、同国販売は5.7%減の38万3,500台へと落ち込んだ。
北米は4.8%減の8万1,800台。市場が低迷するメキシコで10.4%減少したほか、主力の米国も2.6%後退した。
南米は2.7%増の4万9,100台となり、主要地域のなかで唯一、拡大した。同地最大のブラジルで28.4%増加したことが大きい。
ブランド別でみると、大型トラックのMAN(11.9%増の1万1,800台)とスカニア(5.5%増の8,400台)を除いてすべて減少した。各ブランドの実績はアウディが22.0%減の13万9,200台、セアトが20.6%減の3万1,600台、VWブランド商用車が20.5%減の3万5,400台、VWブランド乗用車が18.3%減の48万5,000台、シュコダが16.0%減の9万4,800台、ポルシェが3.0%減の2万200台だった。
1-9月期のグループ販売台数は813万300台で、前年同期を4.2%上回った。0.8%減となった北米を除くすべての主要地域で増加。各地域の増加幅は南米で12.0%、中東欧で9.4%、アジア太平洋で5.2%、西欧で3.1%に上った。中国は5.0%増の303万9,800台だった。
ブランド別ではMAN(21.6%増)とセアト(17.1%増)が2ケタ台の伸びを記録。その他はシュコダが7.8%増、スカニアが7.3%増、ポルシェが5.7%増、VWブランド乗用車が2.9%増、アウディが2.0%増、VWブランド商用車が1.0%増だった。