電気通信大手のドイツテレコム(ボン)は11日、次世代通信(5G)網を2025年までに構築する計画を発表した。5G網構築には巨額の投資が必要となることから、他社と手を携えて実現する考えだ。
25年までに人口ベースのカバー率で99%、面積ベースで同90%を目指す。ドイツは森林が国土面積の30%以上を占めることから、面積ベースで90%でも高い人口カバー率を実現できるとしている。都市や地方のほか、高速道路、国道、鉄道、工業地帯、学校でも5Gを利用できるようにする。無線基地局を最低でも年2,000カ所新設し、21年までに現在の2万7,000カ所から3万6,000カ所へと拡大する計画だ。
5GはIoT社会実現の前提となる通信技術で、通信速度が大幅に早くなるほか、同時多接続、低遅延といった要件も満たす。これを実現するためには無線通信を高速の固定ネットワークである光ファイバー通信網に接続する必要があることから、光通信網の拡充が緊急の課題となっている。
だが、光通信網の敷設コストは高いという問題がある。テレコムはこの課題に対応するために他社と協業。今月上旬には西競合テレフォニカの独法人と提携契約を締結した。テレフォニカがドイツに持つ無線基地局をテレコムの光通信網に接続し、テレフォニカが5Gサービスを顧客に提供できるようにする。テレコムはテレフォニカから接続料金を受け取り、光通信網の構築に充てる。
テレコムは光通信網の構築でも提携を活用する考えで、すでに独北西部のエネルギー事業者EWEや地域エネルギー事業者と共同敷設を取り決めた。さらなる提携先を模索している。
5Gは産業IoTでも利用されることから、同社は工場など特定の区画を対象としたサービスも視野に入れている。照明大手のオスラムとはミュンヘンの西およそ80キロのシュヴァープミュンヘンにあるオスラム工場で共同プロジェクトを開始した。モバイルロボットや自動運搬車を用いた資材運搬テストを実施する。通信には現行の4G通信を用いる。