トルコとの関係正常化を政府が模索、経済相がアンカラ訪問

ドイツのペーター・アルトマイヤー経済相は25日から2日間、トルコの首都アンカラを訪問した。2016年のクーデター未遂事件をきっかけに悪化した両国の経済関係を正常化することが狙い。経済が急速に悪化するトルコ側も外資を呼び込みたいという思惑があり、最大の貿易相手国であるドイツに熱い視線を投げかけている。

エルドアン政権がクーデター事件後に独裁色を強めていったことから、両国関係は悪化。特にトルコで活動するドイツ国籍のジャーナリストなどが相次いで逮捕されたことで関係の冷え込みはさらに強まった。ドイツ企業もトルコの政情不安を受けて新規投資を見合わせている。

トルコでは政情不安や米ドル高を背景に通貨リラの下落が加速して輸入物価が上昇。9月のインフレ率は前年同月比で24.52%に達し、2003年末以降の高水準を記録した。事業・生活環境は急速に悪化している。

北大西洋条約機構(NATO)の加盟国であるとともに欧州連合(EU)に国境を接するトルコの情勢が一段と悪化することは経済のほか、地政学上も好ましくないことから、独政府は関係正常化に乗り出した。

アルトマイヤー経済相のトルコ訪問では◇独企業の対トルコ投資を回復させるために「合同経済・通商委員会(JETCO)」を設立する◇エネルギー分野でドイツがトルコに協力する――ことを取り決めた。

トルコは石炭の産出量が多いものの、石油と天然ガスは輸入に依存している。リラ安で石油と天然ガスの価格が高騰していることもあり、同国はエネルギーミックスに占める再生可能エネルギーの比重を高めたい考えだ。

ドイツ企業は正常化に向けた政府の取り組みにもかかわらず、トルコ投資になおも慎重な姿勢を保っている。同国の政策に信頼感を持てないためで、独産業連盟(BDI)のディーター・ケンプ会長は「民主的な構造がなければ投資家の信頼を得ることはできない」と明言した。リラ安対策として外貨建て輸出売上の80%をリラに交換することを企業に義務づけるなどのトルコの政策は、外資の反発を招いている。

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