州立銀の大合併を検討、独3位の金融機関誕生も

ドイツの州立銀行業界で大規模な合併の可能性が模索されている。経済紙『ハンデルスブラット(HB)』などが報じたもので、実現すると総資産およそ7,000億ユーロの金融機関が誕生。同国の銀行ランキングでドイツ銀行、DZバンク(信用組合の上部組織)に次ぐ3位に付ける見通しだ。

州立銀行は各地の貯蓄銀行(Sparkasse)と州が出資する公的金融機関。メディア報道によると、ヘッセン・テューリンゲン州立銀行(Helaba)、北ドイツ州立銀行(ノルトLB)、バーデン・ヴュルテンベルク州立銀行(LBBW)および貯蓄銀行系の証券会社Deka、不動産金融会社ベルリン・ヒプを合併させる方向。貯蓄銀行の上部団体である独貯蓄銀行・振替銀行連合会(DSGV)の広報担当者は、「検討は初期段階にある」として具体的な決定に至っていないことを強調しながらも、様々な選択肢を検討していることを明らかにした。

ノルトLBの自己資本強化に向けた増資を行うよう、欧州連合(EU)の欧州委員会から要求されたことが合併検討のきっかけとなった。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙によると、金融監督当局が実施した最新のストレステスト(健全性審査)で同行の自己資本比率はドイツの金融機関のなかで最も低かったという。

ノルトLBはニーダーザクセン州とザクセン・アンハルト州、および両州の貯蓄銀が出資する州立銀行。欧州委は同行の増資に新たな出資者が参加することを要求していることから、他の州立銀との合併構想が浮上してきた。

DSGVのヘルムート・シュレーヴァイス会長はHB紙の2月のインタビューで、「我々のグループ企業の構造では将来的に生き残ることができない」と述べ、貯蓄銀・州立銀業界の抜本的な改革に意欲を示した。州立銀の大合併が実現すれば、管理・ITコストを大幅に削減し、収益力を強化できるほか、これまでよりも巨額の融資を行うことが可能となるなどメリットは大きい。

ただ、複雑な利害調整が必要になるなど実現のハードルは極めて高い。ノルトLBに対しては独民間金融機関のコメルツ銀行が拘束力のない買収を提案したという情報もあり、ノルトLBの経営再建がどのような形で行われるかは不透明だ。

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