アフリカ支援基金を独が設立へ、難民流入の歯止め狙い

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は10月30日、首都ベルリンでアフリカ諸国の首脳と会談し、アフリカ支援に向けて総額10億ユーロの基金を設立する意向を表明した。同地の経済を発展させることで欧州への難民流入に歯止めをかける狙いで、貿易保険のカバー率引き上げ方針も明らかにした。

今回の会談に参加したのは、ドイツが議長国を務めた昨年の20カ国・地域(G20)首脳会議で設立されたイニシアチブ、「アフリカとの協定(CwA)」に加盟する11カ国。CwAはアフリカへの民間投資の喚起を目的としているものの、G20参加国に財政支援の義務がないことから、ドイツはCwAに加盟するアフリカ諸国に個別の支援を行っている。昨年はチュニジアとコートジボワール、ガーナの3カ国に総額3億ユーロの支援を実施した。

チュニジアに対しては反汚職当局の改革・拡充、中小企業が銀行融資を受けやすくするための国営信用保証基金の改革をサポート。ガーナには再生可能エネルギーの拡充を支援している。今後は支援に向けた交渉をエチオピア、モロッコ、セネガルと行う予定だ。

メルケル首相が打ち出した10億ユーロの支援基金はアフリカに投資する中小企業を対象とするもので、欧州とアフリカの企業がともに利用できる。

アフリカから欧州への難民の流れが止まらない背景には、現地に十分な規模の雇用がないことがある。保守系与党キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)のヘルマン・グレーエ院内副総務によると、人口が急増するアフリカでは年2,000万件以上の職を新規創出しないと人々の生活を安定させることができないといい、難民流入の減少につながる経済発展の実現は容易でない。

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