ドイツ政府は15日の閣議で、大気保護法の改正案を了承した。ディーゼル車の走行禁止回避策の一環で、窒素酸化物(NOx)の濃度が1立方メートル当たり50マイクログラム以下の都市に走行禁止措置を導入することを禁止することが柱。環境保護団体DUHは欧州連合(EU)法に違反する法案だと批判し、その確認を求める手続きを行う意向を表明した。
EU加盟国はNOxの濃度を1立方メートル当たり40マイクログラム以下に抑制することを2010年以降、義務づけられている。ドイツでは計65都市で違反が確認されており、すでにシュツットガルト、フランクフルト、ベルリンなど9都市を対象に走行禁止判決が下されている。
政府・与党はこうした現実を受けて、走行禁止の回避に向けた政策案を10月初旬に取り決めた。回避策は(1)NOx濃度規制に違反するすべての都市を対象とするもの(2)NOx濃度が50マイクログラムを超える14都市を対象とするもの――の2種類からなる。
(1)は◇当該都市が保有する3.5トン以上の車両(ゴミ収集車や道路清掃車)◇当該都市と周辺地域に住む手工業者と配達業者の車両(2.8~7.5トン)――に尿素SCRシステム(排ガス浄化装置)を後付けする場合、国が補助金を交付するというもの。
政府はこの措置を実施すれば、NOx濃度50マイクログラム以下の都市では走行禁止措置を導入しなくても40マイクログラム規制を遵守できるとして、今回の改正法案を作成した。
法案にはこのほか、最新の欧州排ガス基準である「ユーロ6」に対応したディーゼル乗用車、走行1キロメートル当たりのNOx排出量が270ミリグラムを下回る「ユーロ5」「ユーロ4」対応のディーゼル乗用車、商用車、および救急車やパトカーなどの緊急自動車を走行禁止の対象から除外することも盛り込まれている。