自動車大手の独BMW(ミュンヘン)は英国が通商協定を締結せずにEUを離脱する「無秩序離脱」への準備を進めている。無秩序離脱が現実になると、EU~英国間の物流が大幅に滞りEU製部品をジャストインタイムで英工場に輸送できなくなる恐れがあるためで、必要があれば部品の空輸も行う考えだ。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。
同社は小型車「ミニ」を生産する英オクスフォード工場の操業を英国のEU離脱(来年3月29日)直後に4週間、停止することをすでに明らかにしている。無秩序離脱の可能性を見据えた措置で、メンテナンスを例年の夏季から4月へと前倒しする。
ただ、約4週間の操業停止後に部品を安定確保できる保証はない。税関などの手続きが再導入され、英仏海峡に通関待ちのトラックの渋滞が発生する恐れがあるためだ。BMWはそうした事態になった場合に備えて「(部品の)空輸措置も講じられるようにした」(ハラルド・クリューガー社長)。