低コスト電池量産技術開発へ、産官学で共同プロジェクト

西南ドイツのバーデン・ヴュルテンベルク州は19日、高品質の電池セルを低コストで量産する技術開発に向けたプロジェクトを産官学が共同で実施すると発表した。電動車の価値の30~40%を占める電池分野でアジアメーカーに全面依存することは産業政策上好ましくないとみているためで、デジタル技術を駆使して競争力の高い電池を欧州で生産できるようにする。

「デジバットプロ4.0(DigiBattPro4.0)」という名のプロジェクトを州内に本社を置く電池メーカーのファルタ、フラウンホーファー生産技術・オートメーション研究所(IPA)、太陽エネルギー・水素研究センター(ZSW)と共同で立ち上げた。同州が600万ユーロ、連邦政府が3,000万ユーロの助成金を交付する予定。

プレスリリースによると、同州内で行われた官民プロジェクトではすでに、現在市場に出回っている製品よりも性能の高い電池セルの開発に成功している。だが、そうした製品を低コストで生産する技術はまだ、開発されていないことから、今回のプロジェクトを実施する。人工知能(AI)の一種である機械学習(ML)を活用することで、低コスト生産を実現する考えだ。

同州にはダイムラーやボッシュなど自動車産業の世界的な企業が集積している。また、州東部のウルムは電気化学の研究が盛んで、「電池ホットスポット」と目されている。

州政府はこうした立地条件を踏まえて、州内に電池セル産業を育成する考えだ。同州のニコレ・ホフマイスタークラウト経済相は、連邦政府とフラウンホーファーが建設予定の研究用電池工場を州内に誘致する意向を明らかにした。

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