ドイツのアンゲラ・メルケル首相は3日、都市と州の代表を招いてベルリンで開催した会議で、欧州連合(EU)の窒素酸化物(NOx)規制に抵触する都市への国の補助金を従来の1.5倍の15億ユーロに拡大することを明らかにした。NOx濃度を引き下げて旧型車両の走行禁止を回避することが狙い。旧型ディーゼル車に排ガス浄化装置を後付けする自治体、手工業者、配達業者などにはこれとは別に総額4億3,200万ユーロの補助金を交付する。
政府は昨年、都市のNOx濃度引き下げに向けた2020年までの時限措置「緊急プログラム―より清浄な大気」を導入した。支援額は10億ユーロ。すでに6億ユーロを超える支援を決定しており、上乗せの必要が出てきたことから今回、増額方針を打ち出した。
同プログラムでは電気バスの購入や乗合バスへの排ガス浄化装置の後付け、交通システムのデジタル化など、NOx排出量の減少につながる自治体の措置を支援する。
会議に参加した自治体関係者の間からは、国の支援は不十分だとの声が出ている。自治体企業連盟(VKU)のミヒャエル・エプリング会長(マインツ市長)は『南ドイツ新聞』に、近距離公共交通を環境的に持続可能なものにするためには今後10年で200億ユーロの資金が必要だと指摘。政府は走行禁止を回避するための適切な構想を持っていないと批判した。