メルク―液晶技術者を中心に400人削減―

製薬・化学大手の独メルク(ダルムシュタット)が機能性材料部門で人員削減を実施する。7月に打ち出した同部門の業績改善計画「ブライト・フューチャー」に基づく措置で、液晶分野の技術者を中心に400人を整理する予定だ。解雇や早期退職措置は取らず、他の分野への異動で対処する。地元紙『ダルムシュテッター・エヒョー』が報じ、同社が11月30日、追認した。

メルクは液晶の世界最大手メーカー。液晶事業は数年前まで、液晶テレビの大型化やスマートフォン、タブレットPCの需要拡大を追い風に順調に拡大していた。だが、近年は市場の飽和化や中国競合の追い上げを受けて業績が低迷している。液晶窓などディスプレー以外の分野で市場開拓に取り組んでいるものの、同社は液晶市場が縮小していくと予想。その穴を埋めるために、ブライト・フューチャーでは有機EL材料、半導体製造工程で使用されるフォトレジスト、半導体材料、コーティング材事業を強化し、20年から同部門の売上高を年2~3%拡大する目標などを打ち出した。半導体材料がけん引車になるとみている。

機能性材料部門の人員削減はこれを受けたもの。液晶の研究開発費はコストがかさむことから、同分野の技術者を削減することにした。該当する技術者は半導体材料、製薬、試薬など他の分野で研究開発に取り組むことになる。すでに30~40人が異動したという。

ドイツでは人材不足が深刻化していることから、同社は優秀な技術者を手放さず、社内で活用することにした。

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