自動車部品製造の独ノイエ・ハルベルク・グス(NHG、ザールブリュッケン)は11月29日、同社の全資産を独投資会社ワン・スクエア・アドバイザーズを中心とする企業連合が独投資会社プリベントから取得することで合意したと発表した。NHGは顧客の自動車大手フォルクスワーゲン(VW)との関係が悪化して経営難に転落しており、親会社の交代により出直すことになる。取引金額は公開しないことで合意した。12月上旬の取引完了を見込む。
NHGはシリンダークランクケースやシリンダーヘッド、クランクシャフト、シリンダーブロックを乗用車、商用車、バス向けに製造するメーカー。大手自動車メーカーを多数、顧客に持つ。
ワン・スクエア・アドバイザーズを中心とする企業連合はNHGのザールブリュッケン、ライプチヒ工場を敷地を含めて譲り受けるほか、顧客との取引関係をすべて引き継ぐ。買収後はNHGをグスヴェルケ・ザールブリュッケンとグスヴェルケ・ライプチヒの2社に分割したうえで、従業員を継続雇用する。
プリベントはボスニアの事業家ハスター家の投資企業で、複数のサプライヤーを傘下に持つ。2016年にVWへの部品供給を拒否し、VWの生産ラインを停止させたことで一躍、有名になった。
NHGは今年1月、プリベントに買収された。VWがその後、NHGからの部品調達を大幅に減らすと通告したことから、NHGは大幅な値上げで対抗したものの、VWから取引を打ち切られ、経営危機に陥っていた。
これを受けてライプチヒ工場の閉鎖とザールブリュッケン工場での人員削減を打ち出したところ、従業員は長期ストライキで抗議。プリベントが親会社にとどまる限り状況改善の見通しが立たないことから、プリベントは今回の取引に踏み切った。