情報通信技術見本市CeBITが廃止に

独見本市会社ドイチェ・メッセは11月28日、ハノーバー情報通信技術見本市CeBIT(セビット)を廃止すると発表した。人気低迷に歯止めがかからないためで、来年6月に予定していた次回開催も取り止める。CeBITの産業デジタル化に関する催しは産業見本市ハノーバーメッセ(ドイチェ・メッセ主催)が吸収。CeBITのその他の分野については新たな専門見本市を設置して対応する。

CeBITはCentrum für Büroautomation, Informationstechnologie und Telekommunikation(オフィス機器・情報技術・電気通信センター)の略。ハノーバーメッセを母体として生まれた経緯があり、もともとは企業の商談を目的とした専門見本市だった。だが、情報通信技術(ICT)が消費財分野に広がるにつれて消費者向けの見本市という性質が強まった。

これに対し多くの出展企業から「消費者が多いと商談ができない」という苦情が出たため、一般公開を廃止した。この結果、娯楽家電メーカーはベルリンで開催されるコンシューマーエレクトロニクス見本市「IFA」、通信業界の企業は西バルセロナの「モバイル・ワールド・コングレス」などに流出。CeBITの訪問者数はピーク時の80万人強(2001年)から昨年は20万人に減少。今年は12万人にまで落ち込んだ。

製造業のIoT化を背景にハノーバーメッセの守備範囲が産業デジタル分野に広がったことや、有力メーカーが自社見本市を開催し、多くの企業が集まる一般的な見本市に参加しなくなったこともCeBITの衰退を加速させた。

上部へスクロール