自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW、ヴォルフスブルク)は6日、主力VWブランド乗用車の利益率目標を前倒しすると発表した。電動車など今後の競争力を大きく左右する分野への投資資金を確保することが狙い。2025年に売上高営業利益率で6%を確保するとした従来目標を3年早い22年に実現する意向だ。
VWブランド乗用車は16年、長期事業計画「トランスフォーム2025+」を発表した。ブランド・ポジショニングの明確化と事業効率・生産性の向上、電動車やモビリティーサービスの拡充を通して競争力を強化していくというもので、売上高営業利益率については15年の2%から20年に4%、25年には6%へと引き上げる目標を打ち出した。
ここにきて同目標を前倒ししたのは、電動車、自動運転、デジタル化、移動サービスの4分野で巨額の投資が必要となっているためだ。同ブランドは19~23年の5年間にこれらの分野に計110億ユーロ以上(電動車はそのうち90億ユーロ以上)を投資できるようにするために、収益力を強化する。
収益力向上に向けては◇工場の生産性を25年までに30%引き上げる◇モデルと派生車の種類を削減する◇エンジン車用プラットホーム「MQB」の採用モデルの割合を現在の約60%から約80%に拡大する◇電気自動車(EV)用プラットホーム「MEB」採用モデルを19年以降、VWグループ全体で1,500万台生産する◇材料費を圧縮する――といった措置を実施する。