パート社員の残業手当、何時間以上の勤務が適用対象か

正規の勤務時間を超える労働時間には残業手当(割増賃金)が支給される。では、正規の勤務時間がフルタイム社員に比べて短いパート社員には何時間目から割増賃金が適用されるのだろうか。分かりやすく言うと、パート社員各人の労働契約に定める勤務時間を超えた時点から適用されるのだろうか、それともフルタイム社員の正規勤務時間を超えた時点から適用されるのだろうか。この問題を巡る係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が昨年12月の判決(訴訟番号:10 AZR 231/18)で判断を示したので、ここで取り上げてみる。

裁判はファーストフード店の副店長として働くパート社員が同社を相手取って起こしたもの。契約で定めた同社員の勤務時間は週39時間、月169時間となっていた。これを超えて働いた分に対し、雇用主が割増賃金を支給しなかったことから、原告社員は割増賃金を要求。これに対し被告雇用主は、フルタイム社員の正規勤務時間を超えて働いた時間にしか割増賃金を支給しないとして拒否したことから、裁判となった。

一審と二審は原告勝訴を言い渡し、最終審のBAGでも判決は覆らなった。判決理由でBAGの裁判官は、ハート社員の不利な取り扱いを禁じた「パートタイムと有期労働契約に関する法律(TzBfG)」4条1項第1文の規定を指摘。また、勤務時間当たりの報酬でパート社員を不利に取り扱うことを禁じた同項第2文の規定も示し、被告が原告に割増賃金を支給しなかったことはパート社員の不利な取り扱いに当たり、違法だとの判断を示した。

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