日立製作所―風力発電機販売を独社製に集約―

日立製作所は25日、風力発電機の分野で自社製品の開発と製造を停止し、今後は独エネルコンの製品に販売品目を絞り込むと発表した。市場の変化を踏まえたもので、エネルコン製品に日立のデジタル技術を組み合わせたソリューション事業のみを展開していく。

日立ではこれまで、自社で開発・製造する風力発電システムを販売する一方で、子会社日立パワーソリューションズを通してエネルコン製の風力発電機を提供してきた。だが、こうした二重体制は開発費や人財リソースの分散、保守サービスの重複など、事業拡大のネックとなっていた。風力発電の利用拡大を背景とする設置に適した場所の減少や、ブレード径・出力の大型化、助成方式の変更など事業環境が変化していることもあり、日立は同製造事業からの撤退を決めた。

今後は同社が強みを持つITとオペレーション技術を掛け合わせたデジタルソリューションを顧客に提供していく。具体的には納入した風力発電システムの稼働情報をリアルタイムで収集。故障の予測や遠隔操作によるメンテナンス、保守要員の迅速な派遣などを通し修理コストの低減や停止期間の短縮、売電量の増加を実現していく。人工知能(AI)を活用して風力発電ファーム全体の発電量を向上させる技術の導入も視野に入れている。

日立パワーはエネルコンと1997年に協業契約を締結し、日本国内でエネルコン製品の販売と建設、保守サービスを手がけてきた。これまでの納入実績は428基(628メガワット)に上る。日立がエネルコン製品に販売を絞り込むことから、エネルコンは自社製品の日本販売が増えると予想している。

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