ハイデルベルク―中国企業が戦略安定株主に―

印刷機械大手の独ハイデルベルガー・ドゥルックマシーネンは23日、中国の紙加工機械大手マスターワークを戦略安定株主として迎え入れる計画を発表した。デジタル化の加速などに向けた事業資金の確保や財務強化のほか、包装材印刷分野の市場で競争力を高めることが狙いだ。

マスターワークは第3者割当増資を通して同社資本の8.5%に当たる株式を取得する。取得価格は1株当たり2.68ユーロ。中国当局の承認などを経て3月末までに出資手続きが完了する見通し。同手続きの完了前にハイデルベルクの株価が大幅に上昇した場合は、取得価格を再交渉することになっている。

マスターワークはシート状の材料を所定の形状に切断するダイカッターなど紙加工関係の機械を製造している。ハイデルベルクとは印刷物を折りたたみ式の箱へと加工する分野で協業関係にある。2014年にはパッケージ印刷用後加工機技術をハイデルベルクから取得した。

包装材印刷市場は成長が続いている。特に世界最大の中国市場は今後も大きな伸びが見込まれることから、両社は同市場を中心に協力関係を拡大。天津にあるマスターワークの工場で部品を共同生産する。マスターワークの製品を利用する企業にハイデルベルクのクラウドサービスを提供することも視野に入れている。

ハイデルベルクは上海青浦区で06年から印刷機械を製造している。今後も同工場で製品を生産し、中国その他のアジア市場で販売していく意向だ。

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