フォルクスワーゲン(VW)グループのアウディとVWブランド乗用車は23日、欧州排ガス基準「ユーロ4」「ユーロ5」のディーゼル車を対象にドイツの一部地域で実施している下取り価格優遇セールを期間限定で全国に拡大すると発表した。アウディは同日から4月30日、VWブランド乗用車は24日から4月30日まで、同セールを全国展開する。
ドイツでは欧州連合(EU)の窒素酸化物(NOx)規制を多くの都市で順守できないことから、NOx排出量が多い旧型ディーゼル車などの走行が今後、大都市を中心に制限される可能性が高まっている。すでにシュツットガルトでは1月1日から市内全域での走行が禁止された。
政府は走行禁止に伴う市民や自営業者の痛手を緩和するために昨年、国内自動車大手との間で自主協定を締結した。NOx濃度が特に高いと国が認定した都市で旧型ディーゼル車の保有者(周辺地域からの通勤者などを含む)が◇尿素SCRシステムを後付けする◇優遇下取り価格で車を買い替える――のどちらかを選択できるようにするというのが、最大の柱で、VWグループはこれを受けて、認定都市と周辺地域に住む住民で「ユーロ4」「ユーロ5」のディーゼル車を持つ人を対象に、下取り価格優遇セールを開始した。グループ以外のブランドの車両も下取りの対象としている。
同セールでは車両の残存価値にプレミアムを上乗せして下取りを行う。新車に買い替える場合の上乗せ額(プレミアム)はモデルによって異なり、VWブランド乗用車で500~7,000ユーロ、アウディでは2,000~9,000ユーロとなっている。中古車(比較的新しい車両のみ)の場合は上乗せ額が小さい。
VWブランド乗用車とアウディは大気の質の改善と走行禁止の回避が今回の措置の狙いだと説明している。これに対し専門家や環境保護団体からは「走行禁止を回避する効果はない」「単なる販促プログラムに過ぎない」といった批判が出ている。