中国の車載電池大手、寧徳時代新能源科技(CATL)はドイツに建設予定のリチウムイオン電池セル工場の生産能力を当初計画から大幅に引き上げる見通しだ。欧州連合(EU)が乗用車の二酸化炭素(CO2)排出規制を大幅に強化する方向にあることから、欧州の電動車需要が大きく拡大すると予想。電池セルの生産能力拡大を検討している。CATL欧州法人のマティアス・ツェントグラフ社長がEモビリティ専門サイト「エレクトライブ」に明らかにした。
CATLは昨年、独中部のテューリンゲン州エアフルトに電池セル工場を建設すると発表した。同社が中国以外に工場を設置するのは初めて。電動車用電池を欧州の自動車メーカーに供給する考えで、独高級車大手BMWとはすでに供給契約を結んだ。
生産能力は当初、14ギガワット時(GWh)を予定していた。だが、EUが乗用車のCO2排出規制を強化することから、これを大幅に引き上げる公算が高まっている。ツェントグラフ社長はまだ決定していないと前置きしながらも、2025年に最大100GWhまで拡大する可能性があることを明らかにした。
EU加盟国と欧州議会は12月、域内で販売される乗用車のCO2排出量を30年までに21年の目標と比べて37.5%削減する規制案の内容で基本合意した。小型商用車については30年までに21年比で31%の削減を義務付ける。閣僚理事会と欧州議会の正式な承認を経て新ルールが導入される。
ツェントグラフ社長によると、EU規制が強化されると、自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)1社だけで、電動車の販売台数を30年までに当初計画より約60万台、増やさなければならなくなるという。