米の車関税引き上げで独からの輸出半減=試算

Ifo経済研究所は15日、米国が輸入車関税を25%上乗せすると、ドイツから同国への自動車輸出額は長期的に約50%(170億ユーロ)押し下げられるとの調査結果を発表した。米商務省はトランプ大統領に17日までに提出した答申書で、自動車の輸入が安全保障上の脅威かどうかの判断を示した。メディア報道によると、商務省は「脅威」との評価を盛り込んだもようだ。欧州連合(EU)は米政府が自動車関税を引き上げた場合、報復措置を発動するとしてけん制している。

トランプ大統領は昨年、外国製の鉄鋼とアルミニウムにそれぞれ25%、10%の関税を発動。5月には輸入車に最大25%の追加関税を課す考えを示すとともに、自動車の輸入が安全保障上のリスクかどうかの調査を指示した。

Ifoによると、25%の追加関税でドイツ車の対米輸出額が半減すると、独自動車産業が国内で生み出す付加価値は70億5,300万ユーロ(5%)減少する。減少幅は日本の84億8,700万ユーロ(9%)、メキシコの82億100万ユーロ(21%)に次いで3番目に高い水準。4位はカナダで48億4,600万ユーロ(31%)となっている。韓国と中国もそれぞれ30億8,800万ユーロ、20億8,700万ユーロ縮小する見通しだ。

これら6カ国のうち、メキシコとカナダは昨年秋に米国との間で締結した新貿易協定「米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」が発効すれば、国内自動車産業の付加価値減少を回避できる。

米国への自動車輸出が大幅に減る結果、ドイツの自動車輸出総額は184億ユーロ(7.7%)縮小する。ただ、独製造業全体の輸出高は減少幅が116億ユーロにとどまる。対米自動車輸出の減少分は、他国への自動車輸出と他の産業の輸出増で部分的に相殺されるため、とIfoは説明している。

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