経常黒字の対GDP比率3年連続で低下

Ifo経済研究所は19日、ドイツの経常黒字の対国内総生産(GDP)比率が昨年は7.4%となり、3年連続で低下したと発表した。同比率はピーク時の2015年に8.9%を記録。その後は16年が8.5%、17年が7.9%と下落が続いている。欧州連合(EU)の許容上限である6%をなお上回っているものの、改善が続いており、政府は国外からの批判に反論しやすくなりそうだ。

Ifoは経常黒字の対GDP比率が低下した理由として◇対欧州で貿易黒字が減少した◇インフレ率を加味しない名目GDPが3.4%増と大幅に伸びた――の2点を挙げた。

ドイツがEUの許容上限値を上回るのは7年連続。EUの欧州委員会は6%超が持続すると域内の経済的な安定が損なわれるとして、同国に是正を求めている。また、米トランプ政権の批判は強く、ドイツの主力製品である自動車の輸入関税を引き上げる可能性がある。

ドイツの経常黒字額は2,940億ドルとなり、これまでに引き続き世界1位となった。2位は日本で1,730億ドル。対GDP比率は3.5%にとどまった。

これまで上位を占めていた中国はトップ3から転落し、代わりにロシア(黒字額:1,160億ドル、対GDP比率:7.0%)が3位に入った。Ifoはこれについて◇石油・天然ガス価格の上昇を受けて輸出額が拡大した◇輸入依存度を引き下げるための政府の政策を受けて輸入が低迷した――ためだと説明している。

中国の経常黒字が減少したことについては、国の産業戦略「中国製造2025」の一環で昨年初頭に導入された助成政策の効果で、機械輸入が増えたことが原因だと指摘。また、対米輸出が大幅に増えた事実を挙げ、米国との通商摩擦は経常黒字縮小の原因でないと強調した。

米国の経常赤字は4,550億ドルに達し、これまでに引き続き最大の経常赤字国となった。中国からの輸入が増えた一方で、対中輸出は大きく減少。貿易赤字は膨らみ、経常赤字幅は前年を50億ドル上回った。ただ、経常赤字の対GDP比率は2.3%と低い。

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